平成ことばじゅく

ビオトープ(biotope)


ドイツ語で『地域の野生生物の生息空間』の意味。その土地に従来の昆虫や小動物、植物の多くの種類が生息できる空間が質の高いビオトープといえます。ドイツでは1970年代から、都市開発や生産性一辺性の農業への反省を背景に始まりました。農道沿いの土地を一定の幅でや野草地にしたり、川のコンクリート護岸をはがしたりして、自然の保全、復元を図っています。日本では、1990年代初めから自治体や自然保護団体がビオトープを導入し、特に都市部での学校では、消えていく身近な自然を、ビオトープで取り戻そうという取り組みにつながりました。1993年に『生物の多様性に関する条約』を批准したこともあり、環境庁が自治体のビオトープを補助する『自然共生型地域づくり事業』を1997年度から始めました。野鳥やトンボなどの多様な生物が生息できる身近な自然の回復・整備を支援しています。しかし、一方的な押しつけでは住民の理解を得られず、コンクリートの池を土底に変えてトンボを待っていてのに、ヤゴを食べるコイを住民が放したり、植物が生えてくる土を踏み固めたり、落ち葉の放置に反対したりという例が出てきました。『本当の自然』への接し方が現在問われています。


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